2017.02.28 Tuesday

布引ダムは、新神戸駅のすぐ近くにあります。ロープウェーを使うと、山を登る必要すらなくて、下り坂をハイキングしていれば、ダム関連の多くの土木遺産を見学できます。

ロープウェーからは左側に見えるので、必ず左側に陣取ります(^^;)

ロープウェーを降りて歩いていると、最初に出会うのは分水堰堤とその関連施設なんですが、樹木に覆われていて、この写真では何が何だか分かりませんね(^^;) 分水堰堤の役割は下の画像をご覧ください。
上の写真のアーチ型のものが分水堰堤。写真左側の柵が見えているのが分水堰堤付属橋。
どちらも1907年の竣工です。ダムが完成したしばらく後で、分水施設が造られたんですね。

薮コギして川底に降りればよく見えるのだと思いますが、準備してなかったんです。

こちらが放水路隧道(1908年)の入り口で....

これはダムに流れ込む側の分水隧道の出口。

ダムに流す水が川を逆流しないための締切堰堤(1908年)

しばらく歩くと、ダム湖に出ます。

水位が上がると、写真の左側の橋の部分から越流して放水路に流れて行きます。橋脚は耐震補強された形なのだと思います。

中央に丸く出ているのが取水塔ですね。

布引ダムの構造は重力式粗石コンクリートダム。表面の石材は型枠を兼ねています。

堤長110.3m、堤高33.3m。ダムは東を向いています。このページの最初の写真はずいぶん前に早朝に撮影したもので、写真を撮るなら早朝がお勧め。

デンテルで飾られています。

門扉の上部の飾りは神戸市水道局のシンボルマークなのだと思います。他のダムにも同じマークがありますが、現在の神戸市水道局のホームページなどには、このマークは出てきません。何なのでしょう?

ダムの少し下流で放水路と合流します。対岸の崖の上が開削放水路(1900年)になっていて、放水時はここを滝のように流れ落ちるはずです。

ダムから川沿いに遊歩道を降りて行く途中にも、多くの土木遺産があります。これは谷川橋(大正初期)。「モニエ式床版」が特徴ということなのですが、モニエって、RCを発明したあのジョゼフ・モニエ?

途中で立派な滝(雄滝)があり....

これは、鼓ヶ滝取水場(1899年)。

そしてこれが雌滝取水堰堤(1900年)。

石のドームの取水設備もあります。

重厚なディテールですね。ここからの取水はまだ現役らしいです。

雌滝取水堰堤の下部には二重になった石のアーチの下に、鉄の丸い蓋のようなものが見えます。資料には建設工事中の排水路だと書いてあるんですが、どうして二重のアーチなのかよく分かりません(^^;)

そして最後は砂子橋(いさごばし 1900年)。水道橋です。

とても綺麗な煉瓦のアーチ橋のはずなんですが、全然見えません(^^;)
砂子橋まで来れば、もう新神戸駅が目の前です。

布引ダムと関連施設は、国の重要文化財に指定されています。
参考リンク:資料が充実しています(^^)
Wikipedia
神戸市水道局のホームページ ページの下部に各施設の詳細説明へのリンクがあり、とても詳しいです。
全体の地図
布引水源地水道施設記録誌 国重要文化財指定記念
布引きダムの土木史学的な観点から見た価値
建設コンサルタンツ協会のホームページ
ダム便覧
文化財オンライン
土木貴重写真コレクション 古い写真です。
土木学会旧蔵写真館 これも古い写真です。
論文:近代古典コンクリートダムのデザインに関する考察
論文:佐野藤次郎と神戸水道の3ダム
論文:佐野藤次郎と初期の神戸水道におけるイギリスの影響
位置:景観デザイン事例地図
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Category:兵庫県